会社の借入金が全部で2億円で、経営者に万が一の事があったら困るから、2億円の生命保険に入りました…。一見あたりまえのように聞こえますが、ことはそう単純ではありません。
会社にとって、受け取った保険金は雑所得になるので税金が掛かります。法人税、住民税、事業税などから算定する総合的な税率(実効税率)を40%とすると、実に保険金の4割(2億円×40%=) 8,000万円は税金に取られ、1億2,000万円しか残らないことになります。そもそもこれでは保険金で借入金を返済できません。
そこで税理士や保険会社は「支払税金分を上乗せした保険金額を掛けましょう」ということで、2億円を受け取るために(2億円÷60%=) 3億3,000万円の保険に加入させたりします。
理屈は分からないでもないですが、必要な保障を得るために1.7倍もの保険料を払うのもおかしな話ですよね。
ではどのように考えるか…
経営者の死亡保険金は、当面の運転資金やどうしても返済しなければならないものなどの対処に留めておく。会社の規模にもよりますが数千万円もあれば立派でしょう。
どうしても2億円の保険を掛けたいのであれば、経営者が個人で契約者となり、受取人を妻や子供にして掛ける。個人契約であれば、受取保険金の税額の計算は相続税として算出されるので先ほどの例と較べれば圧倒的に安い。どちらにせよ、金融機関は会社から回収出来ないとなれば保証人や連帯債務者のところにやってきます(笑) 。その時に経営者に代わって奥様やお子様が払うもよし、払わぬもよし、その選択権を持つということが重要なのではないでしょうか。